木毛セメント板とは

1.木質セメント板とは
木質セメント板とは、木毛セメント板、木片セメント板の総称です。
木毛セメント板は対象12年の関東大震災の復興材料としてドイツのヘラクリート社の製品を輸入したのに始まり、昭和初年に国産化され戦中・戦後を通じて主要な建材として広く使用されてきました。
木片セメント板は先ず、普通木片セメント板の技術が昭和28年にスイスのドリゾール社から導入されたのに始まりますが、現在では1社の製造に止まっています。次いで硬質木片セメント板は、昭和39年アメリカのエルメンドルフ社から導入されたのを始めとし、現在では2社が生産しています。
両社の違いは、主として原料とする木質繊維の形状によるもので、木毛セメント板は、木材を細長いリボン状に削りだしたものを原料としています。
普通木片セメント板の場合は、プレーナーで削りだした薄片を、硬質木片セメント板の場合は、主として間伐材、合板・製材工場から発生する残材、建築解体木材などを用い、セメントもポルトランドセメントの他に高炉セメント、エコセメントなども使用する事によって、省資源・環境負荷低減に貢献している事が認められ、平成13年4月には他建材に先がけてグリーン購入法第1号として指定されました。
また、ホルムアルデヒド・VOC放散低減型建材の性能についても、(財)建材試験センターの審査証明書によって保証されています。

1-1.木質セメント板の特長
木質セメント板は、断熱性に優れた有機質の木材と耐火性に優れた無機質のセメントを組み合わせて製造されていますので、それらの比率や比重を変化させることによって、幅広い性能が得られます。
一般的に木質セメント板は次のような特徴をもっています。

省資源
間伐材や製造残材などを有効利用しています。製造時のは材・残材なども再利用しています。
省エネルギー防火性
断熱性に優れ、夏は涼しく、冬は暖かく御利用いただけます。
特に歴史のある木毛セメント板は、建築基準法の代表的材料として明記されています。
安全性
アスベストや有害物質を含んでおりませんから、火災や地震等の被害にあっても危険物が飛散する事はありません。

健康建材
ホルムアルデヒドなどシックハウスの原因となる有害物質は含んでいませんので安心です。

音響特性
外部からの音を遮断(遮音)し、内部の音を吸収(吸音)します。

調湿性
水分の吸・放湿性に優れていますので、室内の温度を調整し、快適な住居空間を作ります。

脱臭性
アンモニアや、メチルアミンなどの脱臭性に優れています。

軽量かつ強靭
かさ比重0.5~0.6の軽さでも強靭です。硬質のものは、高強度かつ大きなたわみを維持します。防腐、防蟻、防鼠性に優れています。

加工性
切断・塗装・貼り付けなどが容易です。

施工性
運搬・鋸引き・釘打ち・金物取りつけが容易です。

1-2.木質セメント板の種類
(1)木毛セメント板
木毛セメント及びセメントの種類、特殊製法、仕上げなどにより表1.1のように分類する事ができます。
表1.1 木毛セメント板の分類

分類 種類 特徴
JIS規格 硬質木毛セメント板 かさ密度が1.0以上で強度・遮音性に優れ、ビスの保持力があります。
屋根・壁等耐火構造認定品。
中質木毛セメント板 かさ密度が0.7以上1.0未満で、強度・透過性に優れ壁等打込型枠兼用に使用。
普通木毛セメント板 かさ密度0.4以上0.7未満で断熱、吸音性に優れ、あらゆる部位に使用。
木毛
中細
化粧性
最も普及
セメント ポルトランドセメント
白色セメント
通常品
意匠性向上
特殊 木毛パーライトセメント板
アール付木毛セメント板
多層木毛セメント板
補強木毛セメント板
軽量、意匠性、耐火性
湾曲部に対応
2種類以上の木毛を畜層して性能向上
竹・ラス・ネットなどで補強
仕上げ 塗装木毛セメント板
壁仕上材張木毛セメント板
エマルションペイントなどの吹き付け
化粧品
壁紙、壁布の張り化粧品

(2)木片セメント板
木片セメント板は、比重、用途によって表1.2のように分類されます。
表1.2 木片セメント板の分類

分類 種類 特徴
JIS規格 硬質木片セメント板 かさ密度0.9以上で、屋根下地・外壁等に使用
普通木片セメント板 かさ密度0.6以上0.9未満の製品。
仕上げ 素板 表面に化粧が施されていないもので、そのまま使用するもの
無塗装板 表面にシーラーを施したもので、現場で化粧加工を施すもの
塗装板 工場で塗装などの化粧加工を施したもの
用途 屋根下地用 主として耐火構造が必要とされる大規模建築物の屋根野地に使用されるもの
外壁・軒天井用 戸建て、共同住宅、店舗等の外壁に使用されるもので、表面に模様がついているものがある

※最近の新しい木毛セメント板
・不燃木毛セメント板(NM-0234)
特殊混和剤を使用することにより、従来の木毛セメント板の性能を有しつつ、火災に強く、不燃材料の認定を取得しました。
壁打込み、内装等にも使用されています。